前回は、業界で一般的に言われていることを踏まえて書きましたが、今回は、ちゃんと権威のあるものに乗っかってみようと思います。
なお、前回のおさらいをすると
ベランダ → 屋根あり
バルコニー → 屋根なし
というのが、業界的な認識でした。
権威あるものとして思い浮かぶものとして、「法令」と「辞書」の2つをピックアップしてみました。
まず、法令での使われ方について。
権威あるもののトップに君臨すると言っても過言ではないのが法令。
ここでは憲法・法律・政令・省令をまとめて法令と言っています。
法令の中でも、憲法が一番上で、次いで法律→政令→省令の順に権威が弱くなっていきます。
すなわち、法令ヒエラルヒーの中で順位付けをすると次のようになります。
第1順位 憲法
第2順位 法律
第3順位 政令
第4順位 省令
なにかの法令の中で「ベランダとは、○○○のことをいう。」といった定義規定でもないか期待しながら調べてみます。
まず、「ベランダ」で検索したところ2件ヒットしました。
しかも、私法の一般原則を定めた民法がヒットしました。
民法は序列第2位に位置する法律です。
ちなみに、民法では、次のように使われています。
民法第二百三十五条 境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
「ベランダとは何か」を調べているこちらにとっては、あまり使えない規定のされ方でしたが、法律で使用されている点はポイントが高いですね。
次に「バルコニー」で検索してみたところ、17件ヒットしました。
ただ、政令・省令(序列第3位と第4位)のみのヒットでした。
また、こちらも残念ながら定義規定は見当たりません。
ただ、序列第3位の政令ではありますが、「建築基準法施行令」で26箇所もバルコニーという単語が使用されていました。
にもかかわらず「ベランダ」という単語は一つも出てきません。
序列第2位の民法で使用されている「ベランダ」と、序列第3位ながら建築基準法施行令に使用されている「バルコニー」。両者一歩も引かずといった感じでしょうか。
今回わかったことは、法令ではとくに定義規定をおくことなく「ベランダ」「バルコニー」という単語が使用されているので、両者の区別は法令上は明らかでない、ということでした。
なお、「インナーバルコニー」「ルーフバルコニー」でも検索してみましたが、ヒットなしでした。
長くなりましたので、辞書編は次回に回します。