近年、自由な住まいづくりを求める人々の間で「DIY型賃貸借」が注目されています。DIY型賃貸とは、借主が自分好みにカスタマイズできる賃貸住宅のこと。一般的な賃貸では原状回復義務がありますが、DIY型賃貸では一定のルールのもと、自由な改装が認められています。
先日、弊社でも懇意にしていただいているオーナー様よりご依頼をいただき、仲介をさせていただきました。
今回は、国土交通省のガイドラインに沿って、DIY型賃貸のポイントをわかりやすく解説します。
1. DIY型賃貸の概要
DIY型賃貸借とは、賃貸物件の一部または全部を借主が改装できる賃貸契約の形態を指します。
通常の賃貸契約とは異なり、借主が自由に改装できる範囲が契約で明確に定められ「原状回復の範囲が制限される」「退去時のルールが事前に合意される」といった特徴があります。
2. 国土交通省のガイドラインにおけるDIY型賃貸のポイント
国土交通省が示した「DIY型賃貸借に関するガイドライン」では、DIY型賃貸の普及に向けた指針が示されています。主なポイントを紹介します。
(1) 賃貸借契約について
DIY型賃貸借では、通常の賃貸契約とは異なる特約を定めることが重要です。ガイドラインでは以下のような事項について予め決めておくことが、トラブルを回避するうえで必要と考えられます。
◆改装可能範囲の明確化:どこまで改装可能かを契約書に記載
◆原状回復義務について:借主が施した改装を撤去するか残置するか
◆改装内容の事前合意:貸主と借主が合意のうえで改装計画を進める
(2) 退去時の対応
DIY型賃貸では、通常の賃貸契約と異なり、退去時の原状回復義務が軽減されることが多いです。そのため、
「退去時に改装部分をそのまま残せるかどうかを契約時に決める」「退去時の費用負担の範囲を明確にする」といった取り決めが必要になります。
3. DIY型賃貸のメリット・デメリット
メリット
自分好みの空間を作れる:壁の色を変えたり、収納を増やしたりと自由度が高い。
賃貸市場の選択肢が広がる:DIY可能な物件は通常の賃貸よりも柔軟性がある。
貸主にもメリットがある:借主が物件の価値を向上させる可能性がある。
デメリット
費用負担が発生する:改装費用は基本的に借主の負担となる。
原状回復義務の範囲に注意が必要:契約内容によっては部分的な回復が求められることも。
貸主との交渉が必要:改装内容を事前に合意しないとトラブルの原因になる。
4. DIY型賃貸借契約をする際の注意点
DIY型賃貸を利用する際には、以下のポイントに注意しましょう。
契約内容をしっかり確認する:改装可能範囲や原状回復義務を明確にする。
貸主との信頼関係を築く:改装計画を共有し、トラブルを避ける。
改装費用の計画を立てる:予算オーバーしないように、費用と期間を計画的に。
5. まとめ
DIY型賃貸は、借主にとって自由度が高く魅力的な賃貸契約ですが、契約内容の確認や貸主との合意が重要になります。国土交通省のガイドラインを参考にしながら、トラブルを避けつつ、自分らしい住まいづくりを楽しみましょう!
国交省公表資料↓
○ 概要
○ 「DIY型賃貸借に関する契約書式例」
○ ガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」
○ 家主向けDIY型賃貸借実務の手引き